以前勤めていた病院での話です。毎週午後から自宅療養中の患者さんの往診をしていました。80代の寝たきりのおじいちゃんを週一回お宅を訪問診療してました。行く度に話しかけても何の返事もありません。こちらから一方的に話しかけ診察して帰ってました。このおじいちゃんはこちらの言ってることを理解してないな、と思ってました。
ところが、1ヵ月ほど経った往診の際、いつもより1時間ほど遅くなって訪問したときのことです。いつも黙っていたおじいちゃんが、「今日は遅かったですの」と言われたのです。はじめて声を聞き、ビックリしました。無口なだけで、全てわかってたみたいです。勝手にこちらで決めつけてはいけないなと、深く深く反省しました。
今日、往診に行った方はちょうど100歳のおばあちゃんです。診察をして帰ろうとすると、いつも無口なおばあちゃんが、「お疲れでした」と言ってくださいました。なんだかほんわかして良い気分になりました。
庭に椿が咲きました。日本の花は品がよい美しさ!