生活習慣病とは?

生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒といった日々の生活習慣が、その発症や進行に深く関わる病気のグループ」と定義されています。まさに、不健康な生活習慣は「万病の元」と言えるでしょう。
具体的には、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、肥満などが代表的です。これらの生活習慣病は、初期には自覚症状がほとんどないにもかかわらず、血管を静かに傷つけ(動脈硬化)、最終的には脳卒中や心疾患といった深刻な病気を引き起こす大きなリスクとなります。

生活習慣病とは?

早めの治療がカギ

特に、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満が複数重なると、動脈硬化の進行は著しく加速し、脳卒中や心臓病の発症危険度は一層高まります。
脳卒中は、日本人の死亡原因の第3位であり、寝たきりの原因の第1位を占める恐ろしい病気です。生活習慣病を長年放置すると、脳の血管が徐々に傷つき、ある日突然、予期せぬ事態に見舞われる可能性があります。
生活習慣病は、指摘を受けても自覚症状がないために、治療の必要性を感じにくく、つい治療を先延ばしにしてしまいがちです。当院では、患者様一人ひとりのご希望を丁寧に伺いながら、どのような点に注意すべきか、いつまで経過観察が可能か、あるいは早期に薬物療法を開始すべきかなどについて、詳しくご説明し、患者様が納得できる治療方針を共に考えてまいります。

動脈硬化

動脈硬化は血管壁が硬化し弾力を失う病態です。血管内にプラークが蓄積し血管が狭窄、進行すると閉塞や血栓形成を招きます。血流悪化による血圧上昇や臓器への酸素・栄養不足は、心臓や脳に負担をかけ、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などのリスクを高めます。適切な管理と生活習慣の改善が重要です。

高血圧

高血圧は、自覚症状が少ないまま進行する、基準値より高い血圧が続く病気です。放置すると血管や心臓に負担がかかり、動脈硬化、心不全、脳卒中などの深刻な合併症を引き起こす危険性があります。まれに頭痛、肩こり、耳鳴りなどが現れることもありますが、合併症の兆候の可能性も。「沈黙の殺し屋」とも呼ばれる高血圧は、早期発見と適切な管理が不可欠です。

基準値

診察室血圧:130/80mmHg
家庭血圧:125/75mmHg

  • 75歳未満の成人
  • 脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)
  • 冠動脈疾患患者
  • 糖尿病患者
  • CKD患者(尿蛋白陽性)

診察室血圧:140/90mmHg
家庭血圧:135/85mmHg

  • 75歳以上の成人
  • 脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり)
  • CKD患者(尿蛋白陰性)

治療法

まずは、血圧計や体組成計で詳細なデータを計測します。その結果を元に、生活習慣の改善に取り組んでいただきます。生活習慣改善が効果的でない場合は、薬物療法を採用いたします。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中の脂質が基準値を超え、血管内に蓄積し動脈硬化を進行させる生活習慣病です。自覚症状はほとんどなく、多くは健康診断の血液検査で発見されます。LDLコレステロールや中性脂肪の上昇、HDLコレステロールの低下に注意が必要です。放置すると血管内にプラークが形成され、血管が狭窄・閉塞し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。

治療法

脂質異常症と診断されたら、まず食事療法や運動療法といった生活習慣の改善に取り組みます。それでも改善が見られない場合は、薬物療法を検討します。薬物療法を行う場合でも、食生活への注意は継続が重要です。さらに、適度な運動や禁煙も、健康な脂質バランスを保ち、心血管疾患のリスクを下げる上で欠かせません。生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせた総合的なアプローチで、脂質異常症を適切に管理することが期待されます。

糖尿病

糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態です。通常、食事由来のブドウ糖はインスリンにより一定範囲に保たれますが、糖尿病ではインスリンの不足や作用不十分により高血糖が続きます。高血糖は血液を粘稠にし、血管を傷つけ動脈硬化を促進。毛細血管も損傷し、臓器への酸素・栄養供給が悪化します。進行すると腎不全や足の壊死など、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。

治療法

糖尿病は完治が困難なため、治療は症状緩和と合併症予防が主となります。1型糖尿病ではインスリン自己注射が必須です。2型糖尿病では、生活習慣改善と薬物療法で血糖値を管理します。高血糖を改善することで、動脈硬化や腎不全といった重篤な合併症のリスクを低減できます。日々の生活習慣や食事の見直しなど、継続的な自己管理が非常に重要です。